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§ 追分コロニー

長野県 信濃追分
噴煙たなびく浅間山の麓にある 
ヴィレッジ ブックショップ / 古本屋さんです

浅間山からあがる煙は お店から見ると
いつも右のほうへたなびいている といったことから
追分の歴史や周辺の自然 四季折々の写真
建設中のお店の設計図や 大工さんの話にいたるまで
いただいた資料は山のよう

そしてなによりもたっぷりと 依頼主のお話をうかがって
その 思いを込めたかたちを探ります

やりとりと調整に かけたいだけ時間と手間をかけられるのが
フルオーダーの醍醐味です 

店名のロゴスタンプ  地図スタンプ
ちょっとしたことに手軽に使える小ぶりのスタンプは
土地の小鳥 ” ゴジュウカラ ”


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□ 追分コロニーを訪ねて □
 
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追分コロニーさんのスタンプをつくるため ご相談を重ねていた当初
お店はまだ建物の建設中で 開店前の準備期間でした
お店がひらいたあかつきに いつかは訪ねたいと思っていました

ご相談をすすめていたころ 高校生だったご子息も
もう 社会人になられたというから あれから何年経ったのか
生活圏のせまい私にとっては遠方の地 少々時がかかりましたが
晴れて 古本屋・追分コロニーを訪ねることができました


       


計画も 夢も 資料も たくさん拝見してはいたものの
実際 どんなところだろう? と行く前からワクワクです
急に思い立った 訪問の計画をお便りすると ちょうど
追分さん企画のイベントをひらかれている とのお返事がありました



二日目 北のほうから レンタカーを走らせ軽井沢へ到着
しなの鉄道に乗ってひとつめの 中軽井沢 泊

霧の中に目覚め お風呂につかり 朝食をすませると
まず宿からいちばん近い 旅のお目当てのひとつ
最近知ったばかりの植物画家の原画展を見に 湖畔の美術館へ



こちらは バス停横のコーヒーショップ 高原の町の秋の日
バスに乗って 中軽井沢へ戻り しなの鉄道で追分に向います

地図のスタンプをつくるとき 自分なりに
空気感やイメージをふくらませていた中を走っていく しなの鉄道
まるで  絵本の中の線路をたどるような気分です



数人の人と一緒に下車 駅舎へまわる
ひとりのおばさんが 切符を手に所在なさそうに駅舎を見回している
ちょうど犬をつれて入ってきた 地元の人が
「ああ、切符? いいのいいの そのままで 誰もいないから」 といった



駅舎に 「あたらさん」の編集室がある と 追分さんが話していたことを思い出した
駅舎を借りて編集室につかうことで この古い駅舎が無くなってしまわないように
あとで きいてみると その後あたらさんは休刊になってしまったということだけど
ほんとうにかわいらしい すてきなたたずまいです 



「油屋は ここから歩いて行けますか」 さっきの 犬の人にきく
「ああ ま 歩いて行けることは行けるわよ 遠いけど」

自分の描いた地図を思い起こしつつ 駅をあとに 歩きだす

  

はじめの5,6分は 歩いてる道を ぶんぶん車が絶えず走りぬけていく
ちょっと 肩身を狭めながら 道端の草花ひとつひとつが気になります

三本の分かれ道 一度 うっかり左へ行ったら 線路に出てしまい
引き返して まん中の道を行く ちゃんと自分の地図にも そう描いてありました、



堂々としてまっすぐにのび 大きな木々におおわれた道になった
軽井沢からふたつめの この信濃追分も どうやら別荘地なのだとわかる
木立のなかに はなれていろいろな形をした別荘宅を
まるで 外国の住宅地のように眺めながら進む 静かな道 ペンキ書きの表札
こざっぱりした木の家 山と積まれた薪 崩れはじめている廃屋 モダン建築   
浅間山の山麓を 山にむかって 少しずつのぼる坂道

こちらでよかったかな と ちょっと心細くなってきたあたりで森が終わり
国道 R18 らしき道に出た  ああ これは地図に描いたところだ
道は 国道をくぐるようになっていた  立体交差とは想像してなかった、

国道をくぐると 道は小さくなり のどかに明るくなった
だいたい見当はついたけど 大きな荷物も背負っているので
念のため 道の工事で立ってるガードマンに 油屋はこっちでいいかと確認
「そうです ここをまっすぐ行けば右側にありますよ」 と 教えてくれた



歩いていくと 左に なにやら趣のある門があった 堀辰雄記念館
ああ これがっ へ〜〜 としばし見入る この文字も地図に彫ったなぁ
こんなところだったんだなぁ と 感心しきり 今日は時間が足りないが
ここもゆっくり見てみたい と後ろ髪ひかれつつ前進



そして ありました! 追分コロニーに到着
おお ここだ ここだ



設計図で見せていただいていた追分コロニーの実物 すばらしい
のれんが すてきに さわやかにゆれています 
この建築については いろいろとお話を伺っていたので
なるほどなあ と うなづきつつ感心しつつ 対面しました
数年とはいえ 雨風にあたった木肌の落ち着きは心地よいものです

油屋にいます とお便りにあったので 早速おとなり 油屋へ



追分さんと 地続きにつながった感じでおとなりにあるのがこちら 油屋
文人に愛された旅館として 由緒ある建物なのだとか




こちらで 追分コロニー斉藤さんご夫妻に再会! お久しぶりです
追分さんのお店も 何年も経つとこんな風合いになるのでしょうか

こちらで イベント・ホンモノウィークが開催されていました
古本 陶芸 絵画 布製品 染めもの 木工品 などなど
いろいろのものが ゆったりとならべられ つぎつぎお客さまが訪ねてきます

この建物 人の手をはなれて荒れていたものを
この春 二ヶ月かけて 改修したばかり  追分コロニーさんは
スポンサーを募り その協力を得て この油屋を活かしていくべく
[油屋再生プロジェクト]と銘打ち 事務局となって 運営されているのだそうです



油屋の建物は 道から少し奥に建っていて 道との間に少し地面があり 
前がこんなふうになっています  (建物から道のほうを見たところ)
まん中に見えるのはイチイの木 赤く透きとおる小さな実をたくさんつけていました

ここは この写真の印象の倍ほどの広さの草地で 二日間 ホンモノ市
という市がひらかれました この草地と油屋の建物の中とあわせて
50あまりの出店があったといいますから たいへんなにぎわいだったことでしょう
秋の日和 さわやかなお天気のもと  いかにも楽しそうです



ちょうどお昼どき お向かいにある居心地の良いそば屋さんで おいしいおそばを食べて
そして いざ 追分コロニーの中へ

    

店内は くつをぬいであがるようになっています
建築様式は古く しかし年数は新しい 落ち着きと明るさをあわせ持った空間です



奥には 二階へ吹きぬけた空間があり ブックカフェになっています
こんな部屋で暖炉にあたる冬の日 想像しただけでもほくほくしてきます
(なんて この土地の冬の寒さ 私には想像もつきませんけれど……)
窓から見える小さな水面は 江戸時代から湧いている泉なのだそうです

お忙しいなか(ほんとうに) 新しいスタッフの方をご紹介くださったり
お店のこと 企画のこと 地域のこと これからのこと などなど
いろいろなお話を伺うことができました はんこのご相談をしていたときも
たくさんお話ししたなぁ と思い出しつつ なんだか 夢はひろがります
さらには  おいしいコーヒーまで淹れてくださり
ゆったり くつろいだ時間を楽しませていただきました  感謝!



東京へ帰る前に もうひとつ 美術館へ行くつもり  欲張りな旅の計画です
来た道は 駅から25分 お店で電車の時間を確認させてもらい 出発です

「追分コロニー」って なぁに? お店? いちど聞くと印象に残る名前……
作品集を見てくれる人に よくそんな質問されるので 古本屋さんです
と答えます  もちろん れっきとした古本屋さんなのですから
それで良いわけなのですが "古本屋さん"という返答だけでは 
ちょっと もの足りないような気もしていましたので
ここに 追分さんのホームページから 一文をご紹介してみます

私の両親の出身地である長野県・信濃追分ゆかりの人に、

詩人であり、 かつ、建築家であった立原道造がいます。

数年前のテレビ番組でたまたま立原道造をテーマにした特集がありました。

司会はジャーナリストの立花隆さんです。

その番組の中で、立原道造が 卒業論文のテーマとして、

ここ信濃追分に芸術家1000人が集う村 「芸術家コロニーの構想」を画いていたことを知りました。


早速、東京の弥生町にある「立原道造記念館」に行きました。

壮大な構想の デッサンを見ることができました。

追分コロニーは立原道造の「芸術家コロニー」 の精神を引継ぐ趣旨で、 名前を借りることにしました。

自立した個人が集う 拠点(コロニー)を目指して活動を行なって行く予定です。

(追分コロニーHPより)




帰り道 行きがけには気がつかなかった 夢のはこ
暗い中に 明かりが灯っているところも見てみたいな

  青空文庫きまり
  一、 本の出し入れは自由です
  一、 借りる人は一冊にして下さい
      蔵書にされる方は代わりの本を置いて下さい 云々……






帰りは下り坂
また来ようっと!
ずっと行きたかった場所へ行ってきた満足感に  足どりも軽くなります
もうひといきで駅 というところで ひとりのおばさんと行き会った
ちょっと行き過ぎてから 追分宿はこちらでしょうか と おばさんの声

「そうです そうです」

「歩いて行けるかしら?
駅で人にきいたら 何にも無いよって言われたんだけど…… 」

「あ 歩いて行けます 行けます
何にも無くないです いいところですよ
もう少し行くと 道が三つに分かれますから
左へ行ってはいけません まん中の道を行くんです
そのうち道を くぐるようになってますから
そこをくぐったらもうすぐです ぜひ  行ってきてください」

たった今さっきの自分のこと 胸を張ってご案内
行きがけに 駅でもらった追分さんの地図を渡して
それぞれのほうへ向いて別れる
先輩気取りが可笑しくなって あっは と笑って駅へむかった











先日見た 鉄道写真家の撮り方を参考にしたのだけど 0.?秒
タイミングがあともうひといきでした ゆっくり入ってきたのになぁ



朝と同じく こちら(軽井沢)の美術館にも観客はひとりもおらず 
閉館までのつかの間 豊かな絵画 優雅な空間を満喫
これで 小旅行の行き先はおしまい 達成感!







16時台 は無理だった 結局18時の新幹線
夕飯のかまめしをぶらさげて ホームを歩いていたら
さっきのおばさんが立っていた

「あ! 行けましたか!」

「あ! どうもどうも 行けました!
なにか 古本屋さん?が ねぇ〜〜 コーヒーをいれてくれて
なんだか ゆっくりしちゃって ねぇ〜〜 もうねぇ
帰りは下りだしね ふふふ 大丈夫でした  ええ
ええ 行ってよかったわぁ〜 ってね」



長野県信濃追分 追分コロニー
ぜひ 訪ねてみてください

私は行ったそばから また次に伺う日が楽しみになりました
追分コロニーさん ありがとうございました!

2011年 秋


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