(某年)12月のある日 と 1月 2月
 
 
 

 
ボックスじいさん 12月のある日 120322up

こんなちまちましたサンドイッチ

あってもなくても たいした変わりはないことよ

今日はボックスは無し ミックスサンドまで と

たかをくくって はしょったその日


入ってくるなり サッ と手を伸ばし

さっさとレジへ足をむけるはずのおじいさんが

腰をかがめ じっと サンドイッチの棚を

見つめている横顔をみてはじめて気づく


毎日のように

ボックスサンドを買いに来る

ボックスじいさん


いつものセーターいちまいに

ダウンベストを着てきた日が

冬のはじまり


ミックスサンドを差し出すと

いつものように軽やかに

  ハイ サンキュー













明日からハワイ
と 朝連絡がある
そうだった

昨晩のライブには行けないまま
していた仕事のokの返事
カレンダーに書き入れてあった
メモだけ残る







閑散と人気のない改札に 男のひとがひとりだけ
立ちどまって かさをたたんでいるのがみえた

黒い服に ミュージアム・バッグ
かばんを預かる仕事で よく見かけたひと
もう長いこと その仕事はしていないのだけど

地上への出口の階段を見上げると 下りてきたおばさんが
「あらあら 落ちてるわよ!ほら!」
と 黒服の彼に声をかけた

雨の午後 ひと月ぶりの面会
はじめて訪ねる建物

ひさしぶりねぇ とくりかえす 手をにぎると 
私の手はあまりに冷たくて 老婆の手は
ふとんの中みたいにあたたかい







通りに出たら
乗ろうとしていたバスが バス停に見えた
わ! っと叫んできびすを返す

来た道を 大急ぎで戻る
右に折れ 公園の真ん中を通り 住宅展示場を抜け
左手と右肩の 重たいかばんが
ぐらぐら私をふりまわす

ひとつ先の停留所
ぜいぜいと 座席に身を預け
ほっと 時計をみる
乗ろうとしていた ひとつ前のバスが
ブロロっと気持ちよく 私をはこんで行く







こんどこそ
これからこそはと意気込んで
毎度の食事を 20%増量中
腹八分が この量になったら
2馬力増しになるのかどうか







明日の朝は このまま雨
というので バスの時刻表をみておく
窓をあけてみると
暗がりの地面に水がたまって
雨粒がきらきらとおちてはねる









ガララとのれんをくぐると
おもったより人がいる
全員沈黙 右向け 右

どどんと大きな画面がせまって
なんだか押し問答しているみたい
そば食う人々 vs 氷上を猛回転する少女達

ひさしぶりの そば屋の座敷
ふーっと息をついて上を見たら 神棚に
瀧乃屋どエ〜す って ドラえもんのイラスト

「これ、」
と 言われて手元に目をやると
ポットにもドラえもん
水どエ〜す






ちょっと大きいと えらく足がはやい
だけど君 右足一本どこで落としてきた?
作業してると 目のはしを走っていく
で ふとみると はたととまる で ふと

子供の頃から
クモはいいやつだから 殺してはいけない
と おしえられてる

だ〜るまさん が






ガオ〜ン ギャオ〜ン と火を吐いて
これじゃ まるで スペシャル特番
ゴジラ vs ガメラ

負けず嫌いと 意地っ張り
言葉を忘れた 悲しい動物







 
         
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