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(某年)12月のある日 と 1月 2月 ■ ボックスじいさん 12月のある日 ■120322up こんなちまちましたサンドイッチ あってもなくても たいした変わりはないことよ 今日はボックスは無し ミックスサンドまで と たかをくくって はしょったその日 入ってくるなり サッ と手を伸ばし さっさとレジへ足をむけるはずのおじいさんが 腰をかがめ じっと サンドイッチの棚を 見つめている横顔をみてはじめて気づく 毎日のように ボックスサンドを買いに来る ボックスじいさん いつものセーターいちまいに ダウンベストを着てきた日が 冬のはじまり ミックスサンドを差し出すと いつものように軽やかに ハイ サンキュー ■ 一 月 十 九 日 明日からハワイ と 朝連絡がある そうだった 昨晩のライブには行けないまま していた仕事のokの返事 カレンダーに書き入れてあった メモだけ残る 二 二 日 閑散と人気のない改札に 男のひとがひとりだけ 立ちどまって かさをたたんでいるのがみえた 黒い服に ミュージアム・バッグ かばんを預かる仕事で よく見かけたひと もう長いこと その仕事はしていないのだけど 地上への出口の階段を見上げると 下りてきたおばさんが 「あらあら 落ちてるわよ!ほら!」 と 黒服の彼に声をかけた 雨の午後 ひと月ぶりの面会 はじめて訪ねる建物 ひさしぶりねぇ とくりかえす 手をにぎると 私の手はあまりに冷たくて 老婆の手は ふとんの中みたいにあたたかい 二 五 日 通りに出たら 乗ろうとしていたバスが バス停に見えた わ! っと叫んできびすを返す 来た道を 大急ぎで戻る 右に折れ 公園の真ん中を通り 住宅展示場を抜け 左手と右肩の 重たいかばんが ぐらぐら私をふりまわす ひとつ先の停留所 ぜいぜいと 座席に身を預け ほっと 時計をみる 乗ろうとしていた ひとつ前のバスが ブロロっと気持ちよく 私をはこんで行く 二 八 日 こんどこそ これからこそはと意気込んで 毎度の食事を 20%増量中 腹八分が この量になったら 2馬力増しになるのかどうか 三 十 日 明日の朝は このまま雨 というので バスの時刻表をみておく 窓をあけてみると 暗がりの地面に水がたまって 雨粒がきらきらとおちてはねる 二 月 七 日 ガララとのれんをくぐると おもったより人がいる 全員沈黙 右向け 右 どどんと大きな画面がせまって なんだか押し問答しているみたい そば食う人々 vs 氷上を猛回転する少女達 ひさしぶりの そば屋の座敷 ふーっと息をついて上を見たら 神棚に 瀧乃屋どエ〜す って ドラえもんのイラスト 「これ、」 と 言われて手元に目をやると ポットにもドラえもん 水どエ〜す 八 日 ちょっと大きいと えらく足がはやい だけど君 右足一本どこで落としてきた? 作業してると 目のはしを走っていく で ふとみると はたととまる で ふと 子供の頃から クモはいいやつだから 殺してはいけない と おしえられてる だ〜るまさん が 十 日 ガオ〜ン ギャオ〜ン と火を吐いて これじゃ まるで スペシャル特番 ゴジラ vs ガメラ 負けず嫌いと 意地っ張り 言葉を忘れた 悲しい動物 |
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